1年前の2025年5月、ベトナム共産党政治局は、民間経済の発展に関する決議68号を採択しました。この決議は、ベトナム企業を経済の重要な原動力とすることを目標に掲げており、企業のガバナンス・技術・人材の能力向上と、より高付加価値のサプライチェーンへの参入を求めています。この方針のもと、ベトナムと日本および韓国との経済協力のあり方も変わりつつあります。単なる投資誘致から、企業の「内的な力」を育てる協力へと、重点が移っています。
クォン・ソンテク会長
韓国・ベトナム経済文化協会、いわゆる「コベカ」のクォン・ソンテク会長は、今後の両国の経済協力について次のように述べました。
「経済分野において、両国は単純な「投資・受け入れ」という構造を越えることができます。共同研究開発、共通の技術標準の策定、そしてグローバル市場への共同進出、この三本柱を軸とした新たなモデルを構築することで、ベトナムと韓国は、アジアの枠を超え、世界市場で競争と協力を両立するパートナーへと発展できると考えています。」
この考え方は、決議68号が目指す方向性と重なります。ベトナム企業が研究開発や技術標準の策定に主体的に関わることで、単純な受託製造にとどまらず、より付加価値の高い工程を担えるようになるからです。
日本との協力では、ガバナンス研修と企業連携が大きな柱となっています。JICA(国際協力機構)ベトナム事務所の小林洋輔所長は、VJCC(ベトナム日本人材協力センター)を通じた取り組みを紹介しました。
2024年、ハノイで開催された 経営塾15周年記念式典。「私どもの具体的な取り組みの一つは、VJCCを通じた協力です。この協力の一環として、VJCCとともに「経営塾」という研修プログラムを実施しています。このプログラムは、ベトナムの中小企業の経営者の方々を対象に、日本流のマネジメントをベトナムでの研修、また日本での研修を通じて学んでいただくもので、すでに1,000人以上の修了生がいます。」
小林所長によりますと、VJCCでは「経営塾」と呼ばれる研修プログラムを実施しており、ベトナムの中小企業の経営者たちが、ベトナムと日本での研修を通じて日本式の経営スキルを学んでいます。これまでに千人以上が修了しているということです。
JICAベトナム事務所の平岡久和次長も、中小企業支援への取り組みについて述べました。
録音 〔日本語〕
「民間経済の発展に関しては、起業家、特に女性が主導する企業への育成支援や、金融アクセスの改善を通じて、中小企業の成長を促進してまいります。こうした取り組みは、ベトナムが2045年までに高所得国となる道のりを支援するというJICAのコミットメントを反映したものです。」
平岡次長は、起業家の育成、特に女性経営者の支援と、資金へのアクセス改善を通じて、中小企業の成長を促進していくと述べました。そして、こうした取り組みはベトナムが2045年に高所得国となる道筋を支援するものだと強調しました。
一方、韓国の法律事務所、ユルチョンのベトナム支所長、イ・ホンベ氏は、ベトナムの民間経済振興への取り組みが、韓国ビジネス界の大きな期待につながっていると述べました。
「ベトナム共産党第14回全国代表大会を経て、2026年から2031年までの新たな5か年期において、ベトナム政府は年率10%超の経済成長を目標に掲げています。民間経済を成長の原動力と位置づけ、2045年までに高所得国となることを目指す新たな時代への歩みを始めたベトナムに対し、投資済み・投資予定を問わず、韓国企業の期待は非常に高まっています。」
ビンファスト自動車製造工場。
こうした期待は前向きなシグナルである一方、ベトナム企業にはより高い水準が求められることも意味します。日韓企業の実質的なパートナーとなるには、ガバナンス、人材育成、技術標準への対応力、そして高度な技術を要するプロジェクトへの参画力を高めていくことが不可欠です。
決議68号は、国際協力に対する新たな視点を開くものです。日本と韓国は単なる投資元や輸出市場ではなく、ベトナム企業のガバナンス向上、技術へのアクセス、そしてサプライチェーンへのより深い参入を支えるパートナーとなっています。ベトナム企業がこの協力の中心となるとき、国際協力は単にプロジェクトを増やすだけでなく、民間経済セクター全体の実力向上にもつながっていきます。
[VOVWORLD]